2019年6月に保険診療下でのがん遺伝子パネル検査がスタートしました。
2024年2月現在、当院で行っている保険診療のがん遺伝子パネル検査は5種類あります。

保険診療検査の種類と費用

OncoGuide™️ NCCオンコパネル システム

がんに関連した124遺伝子について調べます。がん組織血液の両方を用いて実施します。この検査の特徴としては、二次的所見 (遺伝的に生まれながらにして持つがんに関する遺伝子変化)についての結果も得ることができます。

FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル

がんに関連した324遺伝子について調べます。がん組織のみの検査で血液検査は必要ありません。この検査の特徴としては、TMB-highなどのコンパニオン診断の役割も有していることがあります。

TMB:Tumor Mutation Burden。腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量のこと。

FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル

がんに関連した324遺伝子について調べます。血液を用いて実施します。この検査は、がん組織が採取できない、もしくは古くて検査には用いることができない場合に実施されます。

Guardant360 CDx がん遺伝子パネル

がんに関連した74遺伝子について調べます。血液を用いて実施します。この検査は、がん組織が採取できない、もしくは古くて検査には用いることができない場合に実施されます。

GenMineTOP がんゲノムプロファイリングシステム

がんに関連した737遺伝子について調べます。がん組織と血液の両方を用いて実施します。この検査の特徴としては、二次的所見(遺伝的に生まれながらにして持つがんに関する遺伝子変化)も得ることができます。

検査費用

いずれの検査も56万円

患者負担割合は以下のとおりです。

  • 1割の場合:5万6千円
  • 2割の場合:11万2千円
  • 3割の場合:16万8千円
  • その他、検体の準備などの費用が追加で必要となる場合があります。
  • 高額療養費制度の対象となります。詳細については病院の会計窓口でご相談ください。

がんゲノム医療やパネル検査についてさらに詳しく知りたい方は、おしえてがんゲノム医療 (中外製薬)もあわせてご覧ください。

保険診療検査の対象となる方

  • 病理組織学的検査によって悪性腫瘍 (がん)と診断された方
  • 悪性腫瘍の標準治療 (薬物療法)が終了となった、もしくは終了が見込まれる方
  • 原発不明がんの方
  • 血液がん以外の方
  • がん遺伝子パネル検査後に薬物療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方
  • 実際に検査の対象となる状態かどうかは担当医が判断します。
  • 検査を希望されても担当医が適切ではないと判断した場合はおすすめしない場合もあります。
  • がんに罹患しているかどうかを調べること (スクリーニング、検診など)の目的には使用できません。
  • また、遺伝性のがん (遺伝性乳がん卵巣がん症候群、リンチ症候群等)についての検査を希望される場合には、別途、遺伝カウンセリングの受診が必要となります。

受診の流れ

Step.1 予約

受診希望の方はかかりつけの先生にご相談の上、ご予約ください。

Step.2 受診 (1回目):検査説明

指定された日時に「慶應義塾大学病院 セカンドオピニオン外来」にお越しください。
医師により検査の説明を行います。

保険での検査が可能であれば、外来後に当院からかかりつけ医へ病理検体の準備を依頼します。次回の外来受診日までに、病理検体の確認を行います。

Step.3 受診 (2回目):検査同意

検査に同意される場合は同意書にご署名いただきます。
同意取得後に検査開始となります。当院より病理検体や血液を検査センターへ郵送し、がん遺伝子パネル検査を行います。

OncoGuide™ NCCオンコパネル、FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル、Guardant360 CDx がん遺伝子パネルの場合は採血があります。

<がん遺伝子外来の保険診療時間>

  • 火曜日 14:00-16:30 (最終受付 16:00)
  • 木曜日 13:30-16:00 (最終受付 15:30)
  • 金曜日 13:00-15:30 (最終受付 15:00)

Step.4 受診 (3回目):結果説明

検査申し込み日より4~6週間後に、当院の担当医からがん遺伝子パネル検査の結果説明を行います。

推奨治療法は、がん遺伝子パネル検査の結果をもとに、担当医や病理医、バイオインフォマティシャンなどにより事前検討しています。

検査後の治療について

  • 現在、保険診療で認められている標準治療が行われている患者さんは、その標準治療が優先され、がん遺伝子検査の結果に基づく治療は全ての標準治療が終了した後の選択肢として考慮されます。
  • がん遺伝子検査の結果、現在行われている治験に登録が可能と考えられた場合、その治験を実施している病院をご紹介します。
  • がん遺伝子検査の結果、効果が期待される薬剤の情報が得られた場合には、「適応外申請を行って自費診療で治療を行う」、あるいは「先進医療実施病院を紹介して、自費診療と保険診療を並行して治療を行う」可能性が考えられます。 これらの場合、治療費が高額となります。
  • がん遺伝子検査を実施しても、治療薬の選定に有用な情報が何も得られない可能性もあります。がん遺伝子検査の結果に基づいて治療を行っても、十分な治療効果が得られない可能性もあります。
  • がん遺伝子検査は、あくまで主治医の判断に必要な情報を提供するものであって、がん遺伝子解析の結果が、主治医の判断よりも優先されることはありません。
  • 検査後の治療は、原則として紹介元の病院での治療となります。本検査は当院での治療を確約するものではありません。